自費出版でも印税はもらえるのか? 印税と売上還付金の違いを解説
「旅人にとっての宿(逆旅)のような、人生の休憩場所や分岐点をつくる」を理念として、制作・出版業を行う逆旅出版です。
弊社がだしている書籍には、社内で企画を行い制作費を負担し刊行する「企画出版」と、著者に制作費を負担していただき著者の企画を書籍化する「自費出版」の2種類があります。
なので、普段から著者の方々の様々な企画を拝見しているのですが、
- 自費出版でも印税はもらえるの?
- いろんな出版社の相見積もりをとってみたけど、表現が違ってよくわからない……。
というご質問をよくいただきます。
結論からお伝えすると、ほとんどの場合、自費出版では印税は発生しません。
ですが、それは印税という名前ではないだけで、印税に似た収入を得られることが多いです。
ただ、その呼び名は出版社毎に違うケースが多く、少しわかりにくいと思います。
そこで今回は
- そもそも印税とは? 商業出版と自費出版の印税率の違い
- 自費出版でも得られる 売上還付金や売上分配金について
- 自費出版で印税を得るために大切なこと
などを解説します。
そもそも印税とは?商業出版と自費出版の印税率の違い
そもそも印税とは、出版社が「著作権使用料」として著者に支払うお金のことを指します。
これは、出版社が著者の作品を使用する対価として支払われるもので、著者が納得して契約を結んだ証ともいえます。出版社は著者の作品を使用する権利を得る代わりに、印税を支払う義務を負うことになるのです。
商業出版の場合、印税率は通常5%~10%程度が目安です。 一般的な作家が5%程度を基準に、誰もが知っているベストセラー作家クラスで10%程度となります。
一方、自費出版の場合は事情が異なります。自費出版では、著者自らが出版費用を負担しているため、「出版社が作品を使用している」とは言えません。
自費出版は、著者が出版社に製作を依頼し、費用を支払って本を作ってもらう形態です。 著者は自分の作品を世に出すために、出版社による書籍制作+書籍の流通サービスを購入しているようなもの。
つまり、著作権使用料である印税は基本的に発生しないということになります。
自費出版でも得られる?売上還付金と売上分配金
ただし、自費出版でも出版社によっては、本の売上に応じた収入を著者に渡す契約をしている会社があります。(逆旅出版もこの形式です)
この売上の呼び方は出版社毎に異なりますが、「売上還付金」や「売上分配金」と呼ばれるケースが多いです。
こちらの場合は書籍が売れた売上から、送料や手数料を差し引きした利益もしくは契約上で定めた割合を著者が受け取れる形です。
逆旅出版の場合は、全国の書店やオンラインサイトによって手数料が変動しますが、およそ書籍単価の40%前後を著者にお渡ししています。
あくまで出版社との契約に基づくものであり、一般的な契約内容というものが存在しません。
ですので、契約内容をよく確認し、どのような収入が見込めるのかを理解しておく必要がありますね。
自費出版でも稀に印税が発生するケースがある
また、自費出版でも稀に印税が発生することがあります。
それは、
- 当初著者が予定していた出版部数を上回って売れた場合
- 出版社の判断で増刷・重版が決定した場合
などです。
たとえば、著者が1000部で自費出版の契約を結んだものの、1500部売れたとします。 この場合、超過分の500部については出版社が費用を負担して印刷しているため、その分に対して印税が発生する可能性があります。その代わり「売上還付金」や「売上分配金は発生しません。
同様に、著者が予定していた部数は売り切れたけれど、出版社が市場の反応を見て増刷・重版を決めたという場合も、追加分について印税が支払われることがあります。
逆旅出版でも、最初に自費出版で刊行した後、すぐに重版がかかった書籍がありますが、こちらに関しては増版分から弊社が制作費を負担・印税をお支払いしています。
ただし、これはあくまで出版社の裁量によるもので、契約によって定められているわけではありません。増刷・重版時の対応についても確認をしておきましょう。
自費出版で印税を得るために大切なこと
印税という言葉の意味から考えると、自費出版では基本的に印税は発生しないものと考えた方が自然かもしれません。
ですが、出版社によっては売上還付金や売上分配金という形で、本の売上に応じた収入を得られる可能性があります。また、予想以上に売れたり増刷が決まったりした場合には、印税が発生することもあります。
自費出版をお考えの際は、
- 印税の有無
- 印税がある場合は何%で、どのような計算式で算出するか
- 印税がないのであれば売上はどうなるのか
- 予定していた部数を上回った場合はどうなるのか(増刷・重版時の印税)
といった、出版社との契約内容をしっかりとチェックすることが大切です。
とはいえ、書籍の制作は時間も手間もかかるため、出した先のことまで考えきるのは難しいかもしれません。その場合は、少しでも信頼できるような出版社を探すようおすすめします。